分類 |
質問番号 |
質問 |
回答番号 |
相談先 |
Q1 |
ともかく、詳しく相談したいのですが、どうしたらいいでしょうか? |
A1 |
|
Q2 |
どのようにしたら治療を受けられるのですか? |
A2 |
がん治療法 |
Q3 |
がん免疫療法は、他のがん治療法と比べてどのような特徴があるのですか? |
A3 |
がん免疫療法とは? |
Q4 |
がん免疫療法にもいろいろな種類があるようですが、「自家がんワクチン」療法は、他のがん免疫療法と比べてどのような特徴があるのですか? |
A4 |
自家がんワクチンとは? |
Q5 |
「自家がんワクチン」ってどんなものなのですか? |
A5 |
|
Q6 |
「自家がんワクチン」は、「丸山ワクチン」や茸の「アガリクス」・「メシマコブ」などと違うのですか? |
A6 |
|
Q7 |
血漿や血清など、他人の材料を使うのですか? |
A7 |
なぜ効く? |
Q8 |
「自家がんワクチン」の作用原理を簡単に教えてください。なぜ効くのですか? |
A8 |
|
Q9 |
「自家がんワクチン」を接種するとなぜキラー細胞が活性化するのですか?もう少し詳しく教えてください。 |
A9 |
|
Q10 |
「自家がんワクチン」は肝がん以外にも有効なのでしょうか?「がん」はもともと発生した場所により性質が異なるそうですが。 |
A10 |
|
Q11 |
どんながんにでも効くのですか? |
A11 |
治療方法 |
Q12 |
治療方法を簡単に教えてください。 |
A12 |
|
Q13 |
がんの手術をせずに「自家がんワクチン」療法を受けることはできないのですか? |
A13 |
|
Q14 |
「自家がんワクチン」療法とナチュラルキラー細胞を使う治療法とはどう違うのですか? |
A14 |
入院? |
Q15 |
入院が必要ですか? |
A15 |
副作用? |
Q16 |
副作用はないのでしょうか? |
A16 |
|
Q17 |
いままで問題となる副作用は出ていないとのことですが、原理的に副作用が少ない治療法なのですか? |
A17 |
効果 |
Q18 |
「自家がんワクチン」の効果はどの位続くのですか? |
A18 |
|
Q19 |
「自家がんワクチン」療法でも効果の出ない場合がありますか?また、効果が期待できない場合はどうしたらわかりますか? |
A19 |
治療実績 |
Q20 |
いままでの治療実績があれば教えてください。 |
A20 |
他の療法との併用 |
Q21 |
現在、受けている他のがん治療と並行して「自家がんワクチン」療法を受けられますか?その場合の注意点は? |
A21 |
|
Q22 |
現在、他の病院で治療を受けています(受ける予定です)。「自家がんワクチン」療法を受けるにはどうしたらいいでしょうか? |
A22 |
治療費 |
Q23 |
治療にかかる費用はどのくらいでしょうか? |
A23 |
大学病院でも? |
Q24 |
大学病院などでセルメディシン(株)の「自家がんワクチン」 療法は採用されていますか? |
A24 |
|
Q25 |
自家がんワクチン療法を大学病院が採用する場合、「倫理委員会」の承認が必要なのは、治療に危険があるからですか? |
A25 |
|
Q26 |
なぜ「自由診療」でしか、「自家がんワクチン」療法を受けられないのですか? |
A26 |
他所でも? |
Q27 |
他所の医療クリニックでも、“がんの細胞免疫療法”を実施していますが、「NK細胞」療法とも違うものですか? |
A27 |
免疫反応テスト |
Q28 |
1回目のDTH反応テストで陽性となった場合、がんワクチンを受けても効
果は無い(変わらない)ということになるのでしょうか(1回目のDTH反
応テストで陽性となることはありえるのでしょうか)。 |
A28 |
効果 |
Q29 |
「スキルス胃癌で多発転移を起こし、腹水が大量に溜まる状態まで悪化していた終末期の症例では、さすがに自家がんワクチンとNK細胞を同時投与しても無効でした。 」と聞きましたが、何故でしょうか。 |
A29 |
専門的質問 |
Q30 |
多くの抗原は長期間ホルマリンに保存することによって変性するといわれています。がん組織を長期間ホルマリンに保存することによって、がん抗原が変性することはないのでしょうか。 |
A30 |
専門的質問 |
Q31 |
がんが転移していて原発巣が限定できないため、例えば胃幽門付近のがん組織と空腸のがん組織を混ぜ合わせたものからワクチンを作る必要があるかと思います。十分な抗原量を得るために、胃幽門付近のがん組織2gと、空腸がん組織1g以上が必要になりますか? |
A31 |
専門的質問 |
Q32 |
組織学的に見れば、各種の臓器は多種多様な細胞からできています。このような組織においては、がん抗原も多様と思われ、一つのがん組織1.5gから量的に十分な多種多様ながん抗原を得ることは不可能ではないのでしょうか? |
A32 |
専門的質問 |
Q33 |
腫瘍細胞は、全て必ずがん抗原を発現していると考えてよいのでしょうか? がん抗原を発現しないタイプのがんが存在するならば、自家がんワクチン療法は不可能と思われますが。また、それにしては高価ではないでしょうか? |
A33 |
専門的質問 |
Q34 |
多くの抗がん剤は免疫抑制を起こすといわれてきました。抗がん剤療法と自家がんワクチン療法を併用することは可能でしょうか? |
A34 |
専門的質問 |
Q35 |
免疫寛容や、逆に自己免疫疾患を起こす心配はありませんでしょうか? |
A35 |
専門的質問 |
Q36 |
現在まで自家がんワクチン療法の試みは550例以上と話されておられましたが、再発、転移、QOL改善、病巣縮小などの現在の状況について教えてください。 |
A36 |
専門的質問 |
Q37 |
最近、サイトカインの一種であるIL-12がIFN-γを著しく誘導するという報告やIL-12にIL-18を組むとさらに著しいIFN-γの誘導が起こるという報告があります。また、IL-12はNK細胞を活性化すると言う報告もあります。今後、自家がんワクチンの処方をさらに改善する目的で変更する可能性はあるのでしょうか? |
A37 |
専門的質問 |
Q38 |
自己のがん組織をワクチンとして接種することによって免疫を成立させることができるとのことですが、がんが体内に形成される段階で成立しなかった免疫が、なぜ、そのがん組織をワクチンとして体内に戻した場合に成立するのですか? |
A38 |
自家がんワクチン療法と免疫細胞療法との違い |
Q39 |
自家がんワクチン療法と、他のクリニック等で行っている免疫細胞療法とは、まとめて比較するとどう違いますか? |
A39 |
------------------------------------------------------------------------
Q1: ともかく、詳しく相談したいのですが、どうしたらいいでしょうか?
A1: 第1には提携医療機関に お問い合わせ願います。もし、自家がんワクチンに関する技術的・専門的な相談であれば、当社へメールをお願いします。
また、電話相談も受け付けております(→ TEL: 029-828-5591)。
-----------------------------------------------------------------------
Q2: どのようにしたら治療を受けられるのですか?
A2: 1)まず最初に、電話などにて弊社と提携している医療機関(病院・クリニック)に予約をお願いします。予約したならば、今現在かかっている主治医に依頼して、手術を受けられた時の患者様のがん組織の残り(ホルマリン漬け組織か、パラフィン包埋ブロックの中に埋め込まれている組織。組織量が約1.5グラム以上はあるもの)を確保してください。このため、主治医の協力が必須です(もし、がん免疫療法に無理解な主治医の場合は 、直接、提携医療機関にご相談下さい。)
2)次に、予約した提携医療機関にて(できれば、患者様のがん組織を持参し)、初診を受けて下さい。このとき、自家がんワクチン療法の同意書をいただくことになります。また、がん組織を持参しなかった場合、指示に従って患者様のがん組織を持参するか送付してください。 これ以降は、投与スケジュールに従って実施していきます。また、Q12をご覧下さい。
-----------------------------------------------------------------------
Q3: がん免疫療法は、他のがん治療法と比べてどのような特徴があるのですか?
A3: 従来からのがん治療法には、手術、放射線療法、抗がん剤療法があります。手術は何はともあれ第1選択で、がんは切って取ってしまうというのが原則です。しかし、手術ができない場合や転移・再発してしまった場合は、症状に応じて、放射線療法、抗がん剤療法を行います。
これに対し、がん免疫療法は、生まれたときから備わっている体の中の免疫力を強化して、がんを退治しようというものです。免疫力は、主に、抗体を作ることによって外敵をやっつける場合と、リンパ球などの体の免疫担当細胞自体が直接外敵をやっつける場合によって構成されております。効く場合は劇的に効き、効かない場合はウンともスンともいわず、中途半端に効く場合は少ないというのが、がん免疫療法の一般的特徴です。
その中でも、がん免疫療法の1種である「自家がんワクチン」療法は、問題となるような副作用がほとんどないのが特徴です。
------------------------------------------------------------------------
Q4: がん免疫療法にもいろいろな種類があるようですが、「自家がんワクチン」療法は、他のがん免疫療法と比べてどのような特徴があるのですか?
A4: (A27 も合わせてご覧下さい) がん免疫療法には、大きく分けると、(a)体の免疫力全体を高めることを期待して、がん抗原を含まない免疫刺激剤か免疫細胞だけを投与する方法([ 非特異的 ]方法といいます)、(b)がん抗原を免疫細胞や免疫刺激剤とともに投与する方法があります([ 特異的 ]方法にあたります)。
(a)[ 非特異的 ]方法では、生きている細胞以外ならば、普通の薬と同じく安定で取り扱いが簡単で誰にでも投与できます。しかし、副作用が強いものも含まれます。生きている細胞を投与する場合は、患者様自身の細胞ではなく他人の細胞を使うと拒絶反応を起こし、危険な場合があります。
(b)[ 特異的 ]方法では、体外であらかじめ免疫細胞を刺激してから体内に投与する場合と、体外ではなく、体内で免疫細胞を直接刺激するように、細胞を含まないがん抗原成分と免疫刺激剤を混ぜて投与する場合があります。いずれにしても、副作用の強い成分を含めないように(せっかくの免疫細胞を殺してしまわないように)調製します。
(b)[ 特異的 ]方法はさらに、( b-1 )はっきりわかっているがん抗原を免疫細胞や免疫刺激剤とともに投与する方法、( b-2 )どれががん抗原かはわからないが、確実にがん抗原が含まれているものを免疫細胞や免疫刺激剤とともに投与する方法に分けられます。がん抗原や免疫細胞は、患者様一人一人によって異なるのが普通です。そのため、他人のものを流用することはできません。
「自家がんワクチン」 は( b-2 )の分類に属します。その特徴は、生きている免疫細胞も生きているがん細胞も含まないため、取り扱いが簡単です。また、患者様自身のがん組織を化学的に固定したものが原料ですから安定で安全性も備えています。また、その患者様個人にしか使えない、 完全な パーソナルドラッグ です。
------------------------------------------------------------------------
Q5:「自家がんワクチン」ってどんなものなのですか?
A5: 患者様自身のがん組織をホルマリン固定したものを原料にします。細かく砕いたその組織断片と免疫刺激剤(アジュバントと言います)を混ぜたものを注射用生理食塩水に懸濁したものです。アジュバントは、 免疫細胞を強く刺激する物質群の総称で、刺激を受けた細胞は他の種類の免疫細胞を刺激する活性成分を放出するようになります。そうするとその活性成分がまた別の免疫細胞を刺激します。こうして次々に免疫反応を賦活する作用があります。アジュバントには多数の種類があって、昔から最も有名なものにフロイントの完全アジュバント(鉱物油にBCG死菌を混ぜたもの)があります。しかし毒性が強く注射部位に壊死を起こすという欠点があります。当社では、アジュバントには、日本人なら誰でも一度は注射されたことがあるツベルクリンなど、広く使われている安全なものを使っております。マイルドに働き、がん組織に含まれるがん抗原による免疫細胞刺激を助けます。
------------------------------------------------------------------------
Q6:「自家がんワクチン」は、「丸山ワクチン」や茸の「アガリクス」・「メシマコブ」などと違うのですか?
A6: はい、はっきりと違います。丸山ワクチンや茸類は、A4に述べた(a)の非特異的免疫刺激剤です。体の免疫能力全体を高めようとするものですが、がん抗原を含まず(そのためはっきり異常目印=標的がわからない)闇夜に鉄砲方式になってしまう免疫刺激法となります。A4の(b)の特異的な(がん抗原を含み、狙ったがん細胞を殺せる免疫細胞だけを刺激する)免疫刺激剤に比べれば、効率が非常に悪いという欠点があります。運良く効果が出る場合もありますが、その確率は極めて低いと言わざるを得ません。
「自家がんワクチン」は(b)の特異的な免疫刺激剤に属します。
------------------------------------------------------------------------
Q7:血漿や血清など、他人の材料を使うのですか?
A7: 血漿や血清などをそのままの形で使うことはありません。ただ、「自家がんワクチン」には安定化剤の一種としてヒト血清アルブミンが微量入っております。このヒト血清アルブミンは医療用医薬品で熱処理をほどこしてあり、潜在しているかもしれないエイズウイルスなどは完全に殺されているものです。危険性は全くありません。
------------------------------------------------------------------------
Q8: 「自家がんワクチン」の作用原理を簡単に教えてください。なぜ効くのですか?
A8:
ヒトの体内には、正常な細胞が何かの原因で異常になった場合、それを殺して排除するキラー細胞(リンパ球の一部です)が本来備わっています。キラー細胞には、主に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)とナチュラルキラー細胞(NK)があります。しかし、がん細胞は正常細胞と非常に性質が似通っているため(もともと自分自身の体の細胞ですから当然ですが)、通常、キラー細胞はがん細胞をすばやく殺せるほどには活性化されておりません。
がんワクチン療法は、体内で刺激を与えることによってキラー細胞を活性化し、体内のがん細胞を殺すように誘導する治療法です。「自家がんワクチン」では、この刺激剤として患者様自身のがん組織をホルマリン処理したもの(死んだがん細胞を含む)を使います。これが体内のリンパ球を増加させキラー細胞群を活性化し増殖させる働きをします。キラー細胞は、普段はウイルス感染細胞や傷ついた細胞を殺し、体内からクリーンアップする役割を担っています。その重要な役割の一部が、がん細胞を殺す作用なのです。
-----------------------------------------------------------------------
Q9:「自家がんワクチン」を接種すると、なぜキラー細胞が活性化するのですか?もう少し詳しく教えてください。
A9:
ホルマリン漬けにして化学固定したがん組織の中に含まれているがん抗原(TAA)が異常目印となって、キラー細胞刺激作用を担います。
「自家がんワクチン」を接種すると、固定がん組織が樹状細胞などの抗原提示細胞に取り込まれ、そのなかで消化されます。消化途上でできたがん抗原(TAA)の一部がヘルパーT細胞(典型的にはCD4+型のリンパ球)に提示され、ヘルパーT細胞が活性化し、それがキラーT細胞(典型的にはCD8+型のリンパ球)を刺激します。このキラーT細胞が、生きているがん細胞の表面に出ているTAA(異常目印)を認識して がん細胞を殺すしCTLです。
CTL のもととなる Tリンパ球は誰にでもあり、血中を流れています。しかし、それがTAAを見つけ出してがん細胞を殺せるようにトレーニングし、増殖させる必要があります。そのトレーナー役が 樹状細胞 です。樹状細胞は死んだがん細胞を取り込んで消化し、その情報をヘルパー T 細胞に伝えます。ヘルパー T 細胞が活性化してサイトカイン類を放出し、これが CTL のもととなる T リンパ球を活性化して増殖させるのです。このとき、樹状細胞は直接 CTL と接触し活性化することも知られています。
「細胞傷害性Tリンパ球(CTL)」のページとA11も見てください 。
------------------------------------------------------------------------
Q10: 「自家がんワクチン」は肝がん以外にも有効なのでしょうか?「がん」はもともと発生した場所により性質が異なるそうですが。
私の場合、もともとは副腎に発生した「がん」で、問題となっているのが肝・肺に転移しているがんです。
A10: 他の種類の「がん」でも、ワクチンの作り方は同じですし、そのがん組織自体を使用しますので、その中に潜んでいる異常目印(がん抗原、TAA)を認識できるように、ワクチンが体内でキラーリンパ球の活性化に成功すれば、その「がん」がどこに転移したとしても、同じように効果があると推定しております。もし、副腎に発生したがんが肝・肺に転移したのであれば、肝から摘出したがん組織のホルマリン固定組織を使用しても、理論的には肺でも有効となると思います。
しかし、そうではなく、肺に全く新たに発生した「第2のがん」ならば、肺から摘出したがん組織を使用しなければなりません。副腎がんと肺がんでは性質が異なるからです。
転移なのか第2原発がんなのかは、主治医に必ず確認願います。
-----------------------------------------------------------------------
Q11: どんながんにでも効くのですか?
A11: 「自家がんワクチン」が 患者様の体内の狙ったがん細胞を殺せるキラー細胞をうまく活性化できれば、狙ったがんがどんな種類であれ、
効果が期待できます。
ただし、条件があります。
キラー細胞のうちCTLは、相手が正常細胞ではなく、異常だと認識すれば、どんながん細胞でも殺します。 しかし、相手のがん細胞側が異常だという目印を示していないといけません。また、その異常目印(TAA、がん抗原)を認識して殺せるCTLが体内でおおいに増殖しないといけません。
(このため、大切な免疫細胞もまとめてがん細胞と一緒に殺してしまうような強烈な抗がん剤治療は、がん免疫療法とは両立しないとされています。注参照 )。
この増殖スピードよりも、がん細胞の増殖スピードが早い場合は、CTLの増殖が追いつかないため、がん細胞を殺しきれなくなってしまいます。そのため、あまりにも末期になってしまった患者様では、「自家がんワクチン」療法では対応し切れないという事態が起こります。
(注: 2009.5.6 修正:最近の研究では、がんワクチン療法では、「低用量」抗がん剤と併用した方がむしろ良い場合があるという学会発表や論文が多数でてきております。
例えば脳腫瘍におけるテモダールや膵がんにおけるジェムザール等です。他の癌ではどの抗がん剤をどの程度ならば併用しても大丈夫かという点は、まだ十分検討されていません。研究はどんどん進んでおりますので、詳しくは患者様の主治医にお訊ね下さい。)
また、がん細胞のなかにはその異常目印を示さないように変異したやっかいものが出来てくることがあります。そうなるとCTLは、敵と認識できず、見逃してしまいます。 このような場合は、がんの末期でなくても、再発や転移が発生します。がん末期になってしまうと、なおさらこの確率が高くなってきます。
しかし、キラー細胞のうちNKは、この異常目印があるなしにかかわらず、相手が本来体内にない異常細胞であれば、どれでも殺してしまいます。ただし、相手側の細胞にNKに殺されないようにする阻害分子(CTLに対して目印を示す分子の1種でもあります)が備わっていると殺すことができません。正常細胞はこの阻害分子を持っていて、示す目印も正常のものなのです。がん細胞はこの阻害分子を持っていない場合が多いのですが、まれに持っている場合もあります。
したがって、がん細胞が異常目印を示す分子を持っている場合はCTLが殺し、異常目印を示す分子を持っていない場合(阻害分子もない場合)はNKが殺すことができます。(がん細胞が異常目印を示す分子を持たず、しかも、NKにも殺されないようにする阻害分子を持っているという、全く運の悪い場合は非常に少ないと考えられていますが、 万一あれば、がん免疫療法はうまくいきません。)
-----------------------------------------------------------------------
Q12: 治療方法を簡単に教えてください。
A12: 1)提携医療機関からの指示に従って、初診時に患者様の「ホルマリン漬けがん組織」または「パラフィン包埋ブロックに埋まっているがん組織」1.5グラム以上を持参するか、別に送付してください。
2)自家がんワクチンが出来上がりますと連絡します(あるいは、予約日までに作製して待っています)。これ以降は投与スケジュールに従って治療を行います。
予約日に、最初の免疫反応テスト(DTH-1)を受けてください。前腕の皮内に注射をします。
3)上の1)か2)の段階で、必要に応じて(前の医療機関での診療データがよくわからなかったり、以前に比べてすでにかなり変化していると推定される場合などです)採血したり、画像診断を行ったりすることがあります。
4)DTH-1注射の48時間後に再来院し、免疫反応テストの結果を確認して、すぐに第1回目のワクチン注射を行います。1回に5ヶ所、上腕に注射します。
5)2週間後(1週間後のこともあります)に第2回目のワクチン注射を行います。
6)さらに2週間後(1週間後のこともあります)に第3回目のワクチン注射を行います。
7)さらに2週間後に、2回目の免疫反応テスト(DTH-2)を受けてください。その48時間後に免疫反応テストの結果を確認します。
これでいったん終了です。
あとは、前の主治医のところか、ワクチン投与を受けた提携医療機関で定期的に検査をします。どのくらいの間隔でどのような検査をするかは、症状によりますので、 そのときどきの主治医とご相談願います。
8)第1回目のワクチン注射から数えて3ヵ月後と6ヵ月後の2回、患者様がもとの医療機関で定期検査を続けている場合は前の主治医から、患者様の臨床経過についてデータを提携医療機関の主治医に送ってもらいます。これは「自家がんワクチン」投与前後でがん組織がどう変化したか比較するためです。患者様自身のためにもなりますが、後に続くがん患者様のために役立てるために必須ですので、必ず忘れずに患者様からも前主治医にご依頼願います。
-----------------------------------------------------------------------
Q13: がんの手術をせずに「自家がんワクチン」療法を受けることはできないのですか?
A13: 新たにがんの手術を受けなくても、以前に受けたがんの手術で摘出した患者様自身のがん組織が残っていれば(ホルマリン漬けでもパラフィン包埋ブロックでも可)できます。しかし、一度も手術を受けていない場合は、原料となるがん組織がないわけですから、残念ながらできません。
大きな手術でなくても、内視鏡や、胸腔鏡、腹腔鏡などで、2グラム程度のがん組織が取れる見込みがあれば、それから「自家がんワクチン」は作れます。主治医に相談してみてください。
-----------------------------------------------------------------------
Q14: 「自家がんワクチン」療法とナチュラルキラー細胞を使う治療法とはどう違うのですか?
A14: 「 自家がんワクチン」療法は、自家がん細胞だけを特異的に殺す細胞傷害性Tリンパ球(CTL) を体内で誘導増殖させるために行います。CTLの特異性は非常に高く、ねらった患者自身のがん細胞しか殺しません。たとえ同じ種類のがんでも、他人のがん細胞は殺しません。A9、A11に述べた異常目印(TAA、がん抗原のこと)が少しでも違えば、敵とは認識しないのです。その代わり殺し方も強烈で、1個のCTLは1個のがん細胞だけではなく、あたったが最後、相手をなぎたおすように次々にがん細胞を殺していきます。
それに対して、ナチュラルキラー細胞(NK)は、異常目印がなくても遠慮なくがん細胞を殺します(がん細胞が阻害分子を発現して抵抗した場合は別)。役割分担がCTLとは異なるのです。ただし、1個のNKは1個(おおくても数個)のがん細胞しか殺せません。残念ながら、現在の技術ではNKを「体内」では誘導増殖させることができません。当社の創業者らが「体外」でならば大量に増殖させることに成功したため、やっと意味のあるNK療法ができるようになったのです。
しかし、体外で大量にNKを増殖させるためには、自家がんワクチンを作製するよりももっと多くの人手(培養技術者)を要します。そのため、より高価な治療になってしまいます。当社では、がんの免疫療法を受ける場合、先ず自家がんワクチン療法を受けることをお勧めします。
-----------------------------------------------------------------------
Q15: 入院が必要ですか?
A15: いいえ、「自家がんワクチン療法」は、外来で済みます。
-----------------------------------------------------------------------
Q16: 副作用はないのでしょうか?
A16: 2009年3月現在で、「自家がんワクチン」はすでに900例を超える患者様に投与しておりますが、注射局所の腫れや1−2日の軽度の発熱があることがありますが、問題になるレベルの大きな副作用は見つかっておりません。
-----------------------------------------------------------------------
Q17: いままで問題となる副作用は出ていないとのことですが、原理的に副作用が少ない治療法なのですか?
A17: はい、どちらの治療法ともそうです。従来からヒトに投与しても安心と言われてきた材料を主に使っております。そのため副作用が少ないと考えられます。
-----------------------------------------------------------------------
Q18: 「自家がんワクチン」の効果はどの位続くのですか?
A18: A9に述べた異常目印(がん抗原のことです)が分子として全く同じガンに対しては、理論的には一生続くと考えられております。
-----------------------------------------------------------------------
Q19: 「自家がんワクチン」療法でも効果の出ない場合がありますか?また、効果が期待できない場合はどうしたらわかりますか?
A19: 効果の出ない場合もあります。A11に記載した条件をご覧下さい。これらの条件に合わない場合は 、なかなか難しいものとなります。
効果が期待できるか否かを、ある程度ですが、判定しようと試みているのが、A12に述べた2回目の免疫反応テスト
(DTH-2)です。これで前腕の紅斑が直径10mm以上になれば(すなわち、陽転すれば)、免疫細胞が活性化したと考えられます。陽転した肝がん症例の場合は臨床効果をご覧下さい。
-----------------------------------------------------------------------
Q20: いままでの治療実績があれば教えてください。
A20: 臨床効果のページをご覧下さい。術後肝がんの再発抑制と延命効果の臨床試験データと症例報告のデータがあります。
-----------------------------------------------------------------------
Q21: 現在、受けている他のがん治療と並行して「自家がんワクチン」療法を受けられますか?その場合の注意点は?
A21: 他のがん治療法が、体の免疫反応を阻害するものでなければ、並行して「自家がんワクチン」療法を受けられます。
手術後や手術できない場合の現在の標準的な治療法となっている放射線療法・抗がん剤療法とも、場合によっては、強い免疫抑制作用(特にTリンパ球増殖抑制作用)があります。ただし、放射線をがん組織の局所だけに照射し、免疫細胞の元となっている骨髄・リンパ節にダメージを与えないことが事前にわかっている場合は、放射線照射後、一旦減少したリンパ球数が回復した後から、「自家がんワクチン」療法を受けられます。なお、逆に「自家がんワクチン」療法を施行してから放射線照射したのでは、せっかくがん組織に集まったキラー細胞まで放射線で殺してしまいますが、(従来はこれは避けなければなりませんと言ってきましたが)、常に新手のキラー細胞ががん組織の外から供給されるため、最近は、大丈夫であることがわかっています。
(注: 2009.5.6 修正:最近の研究では、がんワクチン療法では、「低用量」抗がん剤と併用した方がむしろ良い場合があるという学会発表や論文が多数でてきております。例えば脳腫瘍におけるテモダールや膵がんにおけるジェムザール等です。他の癌ではどの抗がん剤をどの程度ならば併用しても大丈夫かという点は、まだ十分検討されていません。また、放射線治療でも、がんワクチン療法と併用した方がよい成績となるという報告も出てきています。研究はどんどん進んでおりますので、詳しくは患者様の主治医にお訊ね下さい。)
-----------------------------------------------------------------------
Q22: 現在、他の病院で治療を受けています(受ける予定です)。「自家がんワクチン」療法を受けるにはどうしたらいいでしょうか?
A22: どうか極めて率直にその主治医にご相談願います。真にがん免疫療法を理解している、先端的な知識がある医師であれば、最新の特異的がん免疫療法に理解を示していただけるはずです。古い昔の免疫療法(怪しげな非特異的免疫療法も含めて)の知識しかない方であれば、否定されるかもしれません。その場合は、肝がんの再発予防効果の図(「肝がんの臨床研究」の図)をプリントアウトして示してみて下さい。ご納得いただけると思います。
-----------------------------------------------------------------------
Q23: 治療にかかる費用はどのくらいでしょうか?A23: 2003年10月より自由診療価格となりました。おおよそ小型車1台程度です。一人一人の患者様のために一つ一つ手作りにするため、しかも「自家」がんワクチンというように、その患者様のためだけの専用ワクチンとなるため、(歯科治療で金歯を入れる場合のように)自由診療となり保険が使えません。どうしても高額になることをご理解願います。(それでも、「自由診療」による従来からある各種がん免疫療法よりは、患者様一人当たりでは低額です)。 また、下のA33もご覧下さい。
なお、もとの主治医のところで定期的に検査する費用は通常の保険診療となりますので、保険が使えますが、この費用は別となります。
また、提携医療機関で、必要に応じて行う血液検査や画図診断の費用も別となります。この場合、自由診療の一部となり保険が使えない場合もありますので、それぞれの医療機関でご確認願います。
-----------------------------------------------------------------------
Q24: 大学病院などで セルメディシン(株)の 「自家がんワクチン」 療法は採用されていますか?
A24: はい。2002年7月から、筑波大学・脳神経外科でパイロットスタディが行われ、その成績が学術論文として発表されております(→ Ishikawa, E; Tsuboi, K; Yamamoto, T; Muroi, A; Enomoto, T; Takano, S; Matsumura, A; Ohno, T: A clinical trial of autologous formalin-fixed tumor vaccine for glioblastoma multiforme patients. Cancer Sci., 98(8):1226-1233, 2007.)。また東京女子医大・脳神経外科でも共同研究が行われています(国立大学病院インフォメーションネットワークUMIN試験ID-C000000002)。金沢大学・内科でも倫理委員会承認を得て肝癌を対象に研究されております。ただし、これらの大学病院では、臨床研究が目的ですので、有料の自由診療は行っておりません。
-----------------------------------------------------------------------
Q25: 自家がんワクチン療法を大学病院が採用する場合、「倫理委員会」の承認が必要なのは、治療に危険があるからですか?
A25: 新しくて従来は行われていなかった治療法を試みる場合、治療に危険性がないとしても、倫理性に問題がないかどうか、「倫理委員会」で審議することになっております。「倫理委員会」にも種類があり、患者様個人の全般的なゲノム解析を行うような場合は、国のガイドラインがあって、厳しい倫理審査基準が示されています。「自家がんワクチン」療法や「NK細胞」療法では、ヒトゲノム解析を行いませんが、 セルメディシン(株)では、ヒトゲノム解析を行う場合の国のガイドラインに準じた基準で、倫理委員会を設置し審査を行っております。また、セルメディシン(株)と提携する医療機関でも、倫理委員会を設置し、審査しているところがあります。
しかし、当社の提携医療機関に協力していただける患者様の地元の医療機関では、倫理問題は当社の提携医療機関側の倫理委員会が責任を持つため、あらためて倫理委員会審査にかける必要はありません。 -----------------------------------------------------------------------
Q26: なぜ「自由診療」でしか、 「自家がんワクチン」療法を受けられないのですか?
A26: 「自家がんワクチン」療法も「NK細胞」療法も、厚生労働省の認可をまだ得ていない全く新しいがん治療法です。科学的に有効性が示されても、それだけで「保険診療」が適用されるものではありません。まず安全性に関する必要かつ十分なデータを整え、厚生労働省に申請、国が認めた正規の臨床試験となる「治験」申請許可をもらいます。それから、「治験」第I/IIa相、第IIb相を経て、製造販売認可を得た後、販売を行いながら大規模な「治験」第III相を行い、その後、保険診療対象としてもらえるか否かの審査を受けます。このため日本では、通常、抗がん剤を一つ開発するには、10年以上の歳月と数10億〜数100億円の開発費がかかります。これが後々全て薬代にはねかえるわけです。
これに対し、日本では、医師の全責任において、患者同意のもと、全く新しい治療法を試みることが許されております(一般的には「治験」と区別して、「臨床研究」といっております)。また同様に、「保険診療」とは別に 、院内調剤品については患者様の全額自費負担による「自由診療」も認められております。
日本では、こうした「自由診療」によって「自家がんワクチン」療法を現在直ちに患者様に提供できるようになっております。弊社では、長期にわたる開発期間の間、患者様を待たせずに済み、しかも患者様個人個人に一つづつ薬を作製したのでは回収不可能な莫大な開発費負担を避けるため、「自由診療」による「自家がんワクチン」の提供を優先しております。
-----------------------------------------------------------------------
Q27: 他所の医療クリニックでも、“がんの細胞免疫療法”を実施していますが、「NK細胞」療法とも違うものですか?
A27: はい、違います。セルメディシン(株)の「NK細胞」療法は、すでに他所のいくつかのクリニックで実施している“がんの免疫細胞療法”とは異なっておりますのでご注意願います。他所の場合はLAK細胞療法、自己活性化リンパ球療法、あるいは樹状細胞療法、といわれているものです。
-----------------------------------------------------------------------
Q28: 1回目のDTH反応テストで陽性となった場合、がんワクチンを受けても効果は無い(変わらない)ということになるのでしょうか、(1回目のDTH反応テストで陽性となることはありえるのでしょうか)。
A28: 陽性になることはほとんどないと思います(陽性となることは体内にすでにがん細胞を認識でき殺せる免疫細胞が出来ていることを示唆しますが、それならば、がんにならないと推定されるからです)。しかし、それでもテストするのは、予想外の過敏反応がないことを確認しておきたいからです。
万一、1回目のDTH反応テストが陽性になった場合は、その次のステップのワクチン投与を止めることもできます。1回目のDTH反応テストの判定まででしたら 、少額で終了します。DTH反応テスト用の注射後、48時間後に注射部位に物差しをあて、紅斑が直径10mmを越えていたら陽性と判断しますが、判定が微妙となる場合があり、ワクチン投与を止める場合でも医師に診て貰って写真記録を残していただければ、後日の研究のため、たいへん有り難く存じます。
-----------------------------------------------------------------------
Q29: スキルス胃癌への自家がんワクチンの適応はいかがでしょうか。
A29: スキルス胃癌ではがん細胞の周囲が繊維状物質で囲まれて硬くなり、防壁のようになるのが特徴です。そのため、キラー細胞が非常に攻撃しにくい状態となります。ただし、スキルス胃がんでも 〔症例0124〕のように1年経過後も無再発となっている方もおられます。
-----------------------------------------------------------------------
Q30: 多くの抗原は長期間ホルマリンに保存することによって変性するといわれています。がん組織を長期間ホルマリンに保存することによって、がん抗原が変性することはないのでしょうか。
A30: がん抗原ペプチドはアミノ酸残基にして9mer -15mer程度ですから大部分は壊れずに残ると考えられています。実際、がん抗原タンパクを取り込ませた抗原提示細胞をホルマリン固定した場合でも、効率良くキラーリンパ球(CTL)は誘導できます(⇒主要原著論文の7と12、Kimらの論文をご覧下さい)。なお、がん組織は、数ヶ月なら冷蔵庫保存でかまいませんが、それ以上の期間となりそうな場合は、ホルマリン固定組織をそのままフリーザーに保存するのが良いでしょう。凍結によってホルマリン架橋反応の進行がかなり止まりますので。
また、がん組織をパラフィンに埋め込んだブロックになっている状態であれば、室温で(できれば冷暗所で)
長期保存できます。
-----------------------------------------------------------------------
Q31: がんが転移していて原発巣が限定できないため、例えば胃がんで2ヶ所に転移している場合、胃幽門付近のがん組織と空腸のがん組織を混ぜ合わせたものからワクチンを作る必要があるかと思います。十分な抗原量を得るために、胃幽門付近のがん組織2gと空腸がん組織1g以上が必要になりますか?
A31: 転移したがん組織の性質が同じと推定される場合は、一方かまたは両方あわせて1.5グラム以上あればできます。
-----------------------------------------------------------------------
Q32: 組織学的に見れば、各種の臓器は多種多様な細胞からできています。このような組織においては、がん抗原も多様と思われ、一つのがん組織1.5グラムから量的に十分な多種多様ながん抗原を得ることは不可能ではないのでしょうか?
A32: がん細胞中の「がん抗原の量」でさえ、微々すぎて測れない程の量です。それでも適切に活性化された免疫機構ならばがん抗原を識別できます。ですから、正常組織が混じっていても大きな問題になりません。免疫機構を刺激できる最低量のがん抗原量さえあれば良いのです。ただしこの最低量は個々人によってばらつきが激しいと予想されているため、結局は「自家がんワクチン」投与後の臨床的結果でしか効果は判断できません。
-----------------------------------------------------------------------
Q33: 腫瘍細胞は、全て必ずがん抗原を発現していると考えてよいのでしょうか? がん抗原を発現しないタイプのがんが存在するならば、自家がんワクチン療法は不可能と思われますが。また、それにしては高価ではないでしょうか?
A33: がん抗原を発現しないタイプのがんは存在します。今の患者様の体内のがん細胞ががん抗原を発現しているか否かを調査する方法は(同定済のがん抗原があれば可能な場合もありますが)、未同定の不特定多数のがん抗原を相手にする場合は、開発されておりません。
それでも当社の「自家がんワクチン」は(ホルマリン固定がん組織中にある)未同定の不特定多数のがん抗原を手がかりに免疫細胞を活性化できる点に特徴があります。どのがん抗原を使うかという選択は患者体内の免疫機構に任せてしまい、体外から人為的に指定する方法(この場合は当たれば良いが、はずれると無駄打ちとなる)ではないのです。同一個人の体内だからこそ、正常細胞とがん細胞のごくわずかな差でも峻別が可能なのです。
そのため、他人には使えないパーソナルドラッグとならざるを得ず、どうしても高額になるのが欠点です。それでも消化器がんの専門医によれば、小型車1台程度の価格は安いそうです。問題になるほどの副作用もなく、わずか6週間と4日で治療は終了します。
抗がん剤治療は一見安いように見えますが、2年間も連続投与するとなりますと、抗がん剤の種類によっては数百万円となり、保険が使えてもかえって抗がん剤の方が高くつく場合があるうえ、強烈な副作用がある場合があります。副作用の強さについて、あれは患者に対する拷問に等しいと内々に表現した医師さえおります。
-----------------------------------------------------------------------
Q34: 多くの抗がん剤は免疫抑制を起こすといわれてきました。抗がん剤療法と自家がんワクチン療法を併用することは可能でしょうか?
A34: リンパ球の増殖を強烈には抑制しない低用量の抗がん剤であれば併用可能と言われています。できれば、抗がん剤投与をしない場合に自家がんワクチン療法を行うか、抗がん剤の休薬期間(2ヶ月以上が望ましい)に自家がんワクチン療法を施行してしまうか、抗がん剤治療終了後にリンパ球数が回復してから自家がんワクチン療法を実施するのが望ましいと思われます。しかし、最近のがん関係の学会では、条件次第ではむしろ抗がん剤との併用が良い場合もあるとされています。
(注: 2009.5.6 修正:最近の研究では、がんワクチン療法では、「低用量」抗がん剤と併用した方がむしろ良い場合があるという学会発表や論文が多数でてきております。例えば脳腫瘍におけるテモダールや膵がんにおけるジェムザール等です。他の癌ではどの抗がん剤をどの程度ならば併用しても大丈夫かという点は、まだ十分検討されていません。また、放射線治療でも、がんワクチン療法と併用した方がよい成績となるという報告も出てきています。研究はどんどん進んでおりますので、詳しくは患者様の主治医にお訊ね下さい。)
-----------------------------------------------------------------------
Q35: 免疫寛容や、逆に自己免疫疾患を起こす心配はありませんでしょうか?
A35: これまでに900例を越える症例に投与しましたが、1人もありません。ただし、がん抗原が未同定のため、厳密に調査できているわけではなく、免疫寛容によると思われる臨床上の問題は発生していない、というレベルです。また、自己免疫疾患らしき症状も起こしておりません。体内の免疫機構は非常に厳重に自己・非自己の識別機構を働かせているようです。
それでも、
禁忌があります。
自家がんワクチン投与前から、すでに自己免疫疾患があると疑われる場合は、自家がんワクチンは投与できません。強い免疫刺激作用があるため、自己免疫疾患を増悪させる可能性があるからです。
-----------------------------------------------------------------------
Q36: 現在まで自家がんワクチン療法の試みは900例以上と話されておられましたが、再発、転移、QOL改善、病巣縮小などの現在の状況について教えてください。
A36: 臨床効果のページ、がん種ごとの治療実績のページをご覧下さい。臨床研究と症例報告を掲載しております。 術後肝がんの再発抑制効果については、 Q20 をご覧ください。
2006 年 9 月末現在で、がんの中でも最悪性といわれ、最も治療困難とされる術後再発脳腫瘍(グレード IV の多型膠芽腫) 11 例中、 CR (完全寛解)が 1 例、 PR (部分寛解)が 2 例、 NC (不変) 1 例という効果が出ております。
→ こちらをご覧下さい。
QOL 改善例は各種のがんで非常に多数あります。ちなみに、 2002 年 4 月から 2004 年 4 月までの間で、経過報告があった予後不良(死亡) 11 例の中でさえも、胸水消失、腫瘍マーカー減少、可視範囲のがん組織縮小等、何らかのポジティブな反応があった症例が 55 %もあります。
この他に、情報開示承諾が得られた症例の経過については当社のホームページに「症例報告」として掲載しておりますのでご覧ください。
また、 がん種ごとの治療実績と症例 について、 ソフトクライテリア で見た場合の改善率をホームページに掲示しております。→ こちらをご覧ください。
自家がんワクチン療法を受診されたさまざまながん症例のうち、経過報告があった症例についてソフトクライテリアの観点から評価した治療成績では、全体で約 35 %の症例でなんらかの改善効果が認められております。
-----------------------------------------------------------------------
Q37: 最近、サイトカインの一種であるIL-12がIFN-γを著しく誘導するという報告やIL-12にIL-18を組むとさらに著しいIFN-γの誘導が起こるという報告があります。また、IL-12はNK細胞を活性化すると言う報告もあります。今後、自家がんワクチンの処方をさらに改善する目的で変更する可能性はあるのでしょうか?
A37: 免疫学分野の専門家でもご存知ないようですが、IL-12, IL-18とも確かにNK細胞のキラー活性は増強します。しかしNK細胞増殖そのものに対しては、強力な阻害剤となります。欧米ではIL-12単体投与が試行され、強烈な副作用のため臨床適用が断念されております。 IL-18は作用機構がIL-12とほとんど同じですから、そのまま単体で大量投与したのでは問題を起こす可能性があると言われております。
-----------------------------------------------------------------------
Q38: 自己のがん組織をワクチンとして接種することによって免疫を成立させることができるとのことですが、がんが体内に形成される段階で成立しなかった免疫が、なぜ、そのがん組織をワクチンとして体内に戻した場合に成立するのですか?
A38: 1)自家がん組織断片を体内の樹状細胞に直接取り込ませるよう、免疫刺激剤(アジュバント)とともに注射するのがキーポイントです。体内の未成熟型樹状細胞がこの取り込み能力が高い点を狙います。取り込むと所属リンパ節に移行し、そこで成熟しつつ、キラーリンパ球前駆細胞を刺激し、成熟型キラーリンパ球(特にCTL)に誘導します。これが血流に乗って体内を移動、がん細胞に接触したとき、さらに活性化を受け増殖しつつがん細胞を殺します。がん細胞を殺すようになれば、免疫が成立したと解釈できます。自然の状態では自家がん組織が元気なため断片は発生せず、体内の樹状細胞に直接取り込まれることは滅多にありません。
2)なお、免疫が成立するためには、がん細胞側にある量以上のがん抗原が含まれていないといけません。この量は超微量で良いのですが、実際上どのくらい必要なのかは全く不明です。術後肝がんの場合、固定組織2gからならば、作成した自家肝がんワクチンは明瞭に肝がん再発抑制効果があることがわかっており(Peng, B. G., et al., Jpn. J. Cancer Res. 93:363-8, 2002)、この我々の経験から、他の種類のがん患者様にもできれば2g(少なくとも1.5g以上)は必要と申し上げております。しかし、がんの種類、個体差によって大いに違う可能性があります。1gでも、あるいは0.5gでも本当は良いのかもしれません。これは実施してみないとわかりません。
3)もう一つ重要なのは、体内に残っているがん細胞表面にMHC-class Iが発現していて、その上にがん抗原ペプチドが提示されていなければCTLが敵と認識できないという点です。通常、この発現は頻度が低いと言われており、これを刺激する方法の1つがinterferon-gamma(IFNg)投与です。IFNg投与の代わりに菌体成分を使って体内でIFNgを産生させている研究者もおります。IFNg投与によりがん細胞によってはMHC-classI発現が上昇するものがあり(全部の場合とは限りませんが、多くの場合はそうです)、CTLにより殺されやすくなるというわけです。
-----------------------------------------------------------------------
Q39: 自家がんワクチン療法と、他のクリニック等で行っている免疫細胞療法とは、まとめて比較するとどう違いますか?
A39: 表をご覧下さい。→ こちらです
-----------------------------------------------------------------------
|