自家がんワクチン療法
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自家がんワクチン療法
大腸がんの治療実績と症例


 2008年6月末時点までに自家がんワクチン療法を受診された大腸がん症例のうち、経過報告があった症例についてソフトクライテリアの観点から評価した治療成績を以下にまとめました。

 評価済み症例中29%で、臨床的に見てなんらかの改善効果(改善例 + 1年以上の長期不変・長期無増悪例)が見出されております。ソフトクライテリアは、学術的にみて厳密な評価基準(ハードクライテリア)とは異なるものですが、参考にしていただければ幸いです。

ハードクライテリアの観点からみた臨床効果については → こちらです

ハードクライテリアソフトクライテリアとは? 解説は → こちらです

 

がん種

全症例数 評価済み
症例数
1)
改善例数
無効例数
改善率1 転帰不明追跡不能 改善率2 経過観察中
6)
改善
2)
長期不変・無増悪
(1年以上) 3)
無増悪
(6ヶ月以上1年未満)
無効
改善例数+無効例数中
4)
転帰不明も無効とした場合 5)
大腸 124
66
9
7
2
37
29%
37
17%
21
注)

1)

評価済み症例数には投与中止11例が含まれている
2)
残存腫瘍サイズ縮小、腫瘍マーカー減少、推定余命より2倍以上の延命、QOL(KPS評価)の明らかな改善等の数値化できる指標のいずれか; 主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応
3)
長期不変・無増悪 (ワクチン投与後1年以上無再発あるいは無増悪)
4)

(評価済み症例数から+転帰不明追跡不能例、投与中止例を除いた数を分母にとったとき)

改善率1
=改善例数/(改善例数+無効例数)

5)

(転帰不明追跡不能を全例無効と仮定した場合)

改善率2=改善例数/(改善例数+無効例数+転帰不明追跡不能)

6)
ワクチン投与後1年未満


<代表的症例>

〔症例0001〕
  1988年S字結腸手術。96年6月転移巣切除、同年11月両肺転移巣切除、01年11月副腎転移巣切除。パラフィンブロックより自家がんワクチン作成、02年4月投与、副作用無し。05年に再発するも切除、2007年1月現在問題なく、第一線で活躍中

〔症例0010〕
  2002年7月手術。リンパ節転移あり、StageW(ss,N2)。同年7月、再発予防のため化学療法開始。02年11月再発予防のため自家がんワクチン療法施行、強い局所反応と発熱あり(グレード 2)。その後、脾臓周辺リンパ節転移巣が消失。04.05肝転移出現、切除。以後、09年3月現在まで全く再発なく、ワクチン接種より5年経過

〔症例0023〕
 腹腔内全面播種。手術摘出後、小腸が2mしか残っていないという症例。2003年2月、NK細胞療法施行。03年3月、自家がんワクチン療法施行。8月、CTで再発なし。11月、膣ろうが発生したため再々手術。12月、自家がんワクチン療法2コース目施行(1コース目と異なる組織を使用)。当初予想(余命半年)を大きく越え、2005年1月まで1年8カ月生存

〔症例0030
  肝、肺に転移あり。上行結腸、肝臓を切除。右半結腸、肝臓を切除。残肝転移巣切除。自家がんワクチン療法施行後10カ月(2004.04)まではKPS80-90%で外来受診、肺転移巣の一つが縮小、他の一つが増大。MR(mixed response)の典型例。

〔症例0044
 直腸がん。自家がんワクチン接種後2年間無再発。その後局所再発、再手術。

〔症例0063
 直腸がん。再発必至との見込みであったが、自家がんワクチン接種後、1年7ヶ月経過時点で健在、通常勤務

〔症例0088〕
  2004.05自家がんワクチン接種、07.02現在生存、転移無し(2年9ヶ月経過)。

〔症例0133
  手術時にリンパ節転移あり。抗がん剤療法(UFT+LV、TS-1)が無効、直径4cmに増大局所放射線照射と自家がんワクチンの時差併用で大型のリンパ節転移巣消失

  この症例の画像スライドは、公開されています。以下の画像をクリックすると、時差併用効果を示すスライドが出てきます。スライド上部のボタンをクリックして、順にご覧下さい。

〔症例0142
 直腸がん。リンパ節転移およびその周囲組織へ侵潤あり。2005.01自家がんワクチン接種後、2年経過時で無再発。その後再発するも4年2か月生存。

〔症例0150
 直腸S字結腸移行部がん。自家がんワクチン接種前のCEA値90が、接種後30に低下。1年2ヵ月後CEAが40まで上昇のため抗がん剤TS-1を常用量の1/2量投与、30に再低下。その後CEA=40と再増大あり、2006.05に2回目ワクチン。1カ月後(2006.06;初回ワクチンから1年8か月後)大変元気。

〔症例0183
 
2005.02自家がんワクチン接種、07.01再発無し(2年経過)。

〔症例0203
 手術(2005.02)前より腫瘍マーカー(CA125)は高値を示し、術後も140まで上昇。別の腫瘍マーカーCEA値は術後一時下がったが再び上昇。CT画像上でも腹膜播種による肝表面への転移が見つかっている。05年2月自家がんワクチン接種開始。DTH-2判定時にCA125は正常値(<35)に下がった。ワクチン1年後(2005.04)もCA125は正常値維持。CEA値が15まで低下。この間、化学療法はしていない。

〔症例0246
 2007.3時点(1年6ヶ月経過)無再発。

〔症例0295
  2006.02ワクチン、2007.07無再発(1年5ヶ月経過)。

〔症例0419〕
 原発部位は脂肪組織まで浸潤。リンパ節、肺転移あり自家がんワクチン接種1年1か月経過時無増悪生存。

〔症例0520〕
 S状結腸癌手術、05年(8年後)に再発再切除、06年3月腹膜播種、 小腸切除・胆嚢摘出。 UFT、FOLFOX,、TS1の化療も無効07.02再々発、イレウス惹起(前医はここで手術不能と診断)。転院後、腹側腹膜と小腸を巻き込む腫瘤、肝転移、上行結腸壁転移を再々手術、自家がんワクチン接種(低量UFT、クレスチン・シメチジン併用)。以後、骨盤内転移も切除(ここまでに累積5回の手術)、再度の自家がんワクチン接種後、08.03より低量ゼローダを併用。 CEAは11.1から漸次下降し、 08.05にはCEA 4.8 の正常値まで下降09.03現在元気で、外来通院可能