がん種ごとの免疫反応テスト陽転率

 

 以下は、自家がんワクチン療法を受診された各種のがん症例のうち、1コース3回のワクチン接種の後に行う2回目の免疫反応テスト(DTH-2反応 = 遅延型アレルギー反応)の調査済み症例の陽転率の表です。全体では60%の症例で、自家がん組織に対する免疫反応が陽転しております。

 遅延型アレルギー反応陽転するということは、結核菌に感染したことがあるかどうかを調べるツベルクリン反応の場合と同じく、体内でがん組織に対する細胞性免疫反応が成立した(がん組織を攻撃できるリンパ球群が活性化した)ことを示唆しています。

(2006.8.2現在)

癌種
全投与症例数
調査済*
陽性
陰性
中止**
未調査
陽転率
42 35 23 12 1 6 66%
大腸 72 39 33 6 6 27 85%
71 30 10 20 3 38 33%
肝および肝内胆管 28 23 17 6 0 5 74%
胆嚢 3 2 1 1 0 1 50%
気管支および肺 38 23 12 11 0 15 52%
29 18 9 9 4 7 50%
卵巣 10 7 5 2 0 3 71%
膵臓 11 7 4 3 1 3 57%
(四)肢の骨 および関節軟骨 6 3 0 3 1 2 0%
子宮体部 7 4 2 2 1 2 50%
甲状腺 4 4 2 2 0 0 50%
食道 4 2 1 1 1 1 50%
腎盂 6 2 1 1 0 4 50%
腎盂を除く腎 11 7 5 2 1 3 71%
部位不明の胆道 3 2 2 0 0 1 100%
その他の結合組織 および軟部組織 4 2 0 2 0 2 0%
リンパ組織、造血組織および関連組織のその他 1 1 0 1 0 0 0%
小腸 2 1 0 1 0 1 0%
脊髄、脳神経および中枢神経系のその他の部位 2 1 0 1 0 1 0%
舌根(基底)部 1 1 0 1 0 0 0%
皮膚の悪性黒色腫 6 3 1 2 1 2 33%
鼻腔および中耳 3 2 0 2 1 0 0%
末梢神経 および自律神経系 1 1 0 1 0 0 0%
膀胱 1 1 0 1 0 0 0%
喉頭 1 1 1 0 0 0 100%
尿管 3 2 2 0 0 1 100%
子宮頸(部) 8 5 4 1 0 3 80%
その他(陰茎,外陰,下咽頭,脂肪肉腫,歯肉,縦隔,前立腺) 8 6 6 0 0 2 100%
部位不明 6 4 2 2 0 2 50%
392 239 143 96 21 132 60%

  *   調査済み は、 <がん種ごとの治療実績>の表にある「経過報告あり」の症例数よりも多くなっています。これは2回目のDTH反応テストまでの報告はあるものの、以後の経過報告がない症例があるためです。
  ** 中止 は、自家がんワクチン1コース3回接種途上で亡くなった等の理由により、2回目のDTH反応テストにいたらなかった症例数を示します。

 ご注意

  DTH-2反応陽転すれば、臨床上の効果が出てくる期待度は高まります。しかし、それがそのまま、自家がんワクチンによる“治療効果が出る”という結果につながるとは限りません
  体内で活性化したキラーリンパ球(特に細胞傷害性Tリンパ球 = CTL )が、残存しているがん細胞群全体よりも早いスピードで増殖し、猛スピードでがん細胞を殺していかないと、画像上では残存がん組織が小さくなるという治療効果が現れません。

  治療効果が現れるまで、3ヶ月以上かかることもまれではありません。その間、がん細胞群の増え方が遅いため症状が急速に悪化することはないだろうという見通しがあることが、自家がんワクチン療法開始のキーポイントになります。

  体内で活性化したCTLが増殖できるためには、 患者様の体力が十分に維持されていることが大切です。特に、がんの終末期の場合、体力低下による免疫応答能が激減していることが多く、自家がんワクチン療法は無駄になることが多いので(上記の ** 中止 を参照)、お勧めできません。